2020年4月27日月曜日

5月目の報告「サプライチェーンにおける中小企業のセキュリティ」

サプライチェーンでのセキュリティを語るとき、従来から、中小企業がネックであるといわれ続けてきました。確かに、いかに大企業がセキュリティ対策に万全をつくしても、中小企業のサプライヤに不正アクセスがあれば、サプライチェーン全体に悪影響をもたらします。
スパムや、ウイルスもあるでしょう。メールや添付ファイルが危ういことはもちろんですが、サプライチェーンセキュリティの大きな問題は、情報共有へのリスクです。
情報共有、すなわち企業間の信頼の基盤としての情報共有こそ、サプライチェーンの最大の特徴であり、それが維持されなくなるリスクをはらんでいるからです。いわば、情報共有ができなくなれば、それはサプライチェーンとは呼べません。単なる、外注、下請け、スポット発注と同じであり、何らシステムとしての強みを持ちません。
受発注の前の設計打合せ、見積もり、から、製造進捗情報、品質、などの情報を共有することで、初めて、単なる一回だけの企業間関係ではなく、中長期的な戦略的企業間業務連携となるのです。コストのみならず、品質、納期、といった基本的なQCDの追求が、さらに、エンドユーザーとのフレキシブルな顧客対応、顧客関係の向上に役立ち、競争力となるのです。安心安全なサプライチェーンが求められているのです。
繰り返しますが、情報共有はそれだけ、サプライチェーンにとって重要なテーマです。その生命線である信頼できる情報共有に対して情報漏洩をもたらしかねない不正アクセスに神経質になるのは当然です。皮肉で言えば、十分な情報共有戦略もないのに、発注者がセキュリティの強化を中小企業のサプライヤに押し付けるのは、過剰な被害妄想でさえあります。
問題は、本来の情報共有を破壊しかねない、不正アクセスへの対応には、それなりの武装が必要です。もちろん、費用や人をかければ、それだけ、堅牢になりますが、中小企業に大きな負担になり、耐えられない中小企業も少なくないです。それをサプライヤのセキュリティが脆弱だというだけでは、まったく解決になりません。
それなりにセキュリティ対策がとれるサプライヤとできないサプライヤが出てきます。
もちろん、その前に、どこまで整備するかについて、両者で、議論せず、発注者が基準を決めて、これができない企業とは取引しないと脅すことも想定されます。しかし、これはアフターコロナの出来事です。サプライヤがたくさんあると考えるのは、もはや、古いのです。アフターコロナでは、今残ったサプライヤーを活用しようと発想すべきです。優れた技術をもって、発注者に貢献するサプライヤを一社たりとも失ってはいけません。国を頼って、資金援助を頼みにする方法もあります。しかし、いかに高価なUTP((Unified Threat Management)を導入しても、これはいわばコンピュータですから、操作する人、設定する人、監視する人、など多数の人がいります。だれがするのでしょうか。さらに自分たちで適切なポリシー、ルールなどを設定する必要もあります。
この時、発注者の指示でも、命令でもなく、サプライヤ同士が連携しなければ、対応できないということに初めて気が付きます。受け身ではなく、主体的にです。まさに、今、そういう取り組みが始まっています。セキュリティを基本とした企業再編、企業連携です。解決策はまだ見えません。協同センターもあるでしょうし、クラウドセキュリティサービスの活用もあるでしょう。まさしく、中小企業のセキュリティへの課題が、中小企業のみならず、日本の大きな課題として、クローズアップされてきたのです。












4日目の報告「品質管理から検査レス、検収レスへ企業間の自動化」

工場の製造工程は自動化が進み、かなり人手は少なくなりました。しかし、省力化、省人化が進みましたが、残された大きな領域が品質検査です。手作業で検査をしています。これが次の大きなテーマです。ここにAI活用の画像解析で検査の自動化に多くの企業がまさに取り組んでいます。
折りしも、近年、品質不良、品質問題が大きな課題となってきました。日本のものづくり能力さえ疑われつつあります。製品の不良、クレーム対応は、最終製品の製造会社だけでなく、コンポーネント、部品のサプライヤまでさかのぼって、検査データ、出荷ロットを特定し、原因と対策を迅速に実施する必要があります。つまり、品質管理は本質的に、技術的な問題だけではなく、企業間業務連携の課題であることは間違いありません。
ご存知のように、日本的生産システムでは、品質は、製造後の検査工程ではなく、製造工程で作り込むといってきました。つまり検査をすることで不良品を見つけることは手戻りや、不良品、廃棄品を作り、コスト高になるため、不良を作ってしまう前に、製造工程で発見することに注力してきました。品質の作り込みといわれるものです。
したがって、それを前提に、継続的に納入する系列などの企業間関係では、受け入れ側も検査レス、検収レスを採用している例も少なくありません。
この考え方をAIを活用した企業間での品質管理にも活用できると思います。つまり、件さ工程でのIoTからAIを活用した画像解析によって、合格/不合格の判定を自動化します。
問題は、これは受注者と発注者の協同作業であるべき点がおろそかになっていることです。
受注者で出荷のための検査を行い、発注者は検収のための検査を行うことが少なくないです。同じ業務です。ムダです。一緒にすればいいのです。IoTの時代、嘘をついたり改ざんすることは考えられません。データを共有することで、検査の重複が避けられます。AIになれば、検査データのIoTだけでなく、合否判定も協同でできます。合否判定のあるアルゴリスム、基準を合意しておけばよいのです。
そうすれば、納品即検収が実現できます。まさに企業間での無駄の排除、大きな生産性の向上が期待できます。





2020年4月26日日曜日

3日目の報告「企業間連携によるB2Bキャッシュレス」

軽減税率、5%還元など、キャッシュレス、電子マネーなどの狂騒曲が、そろそろ終わりかけになりました。そろそろ次、B2Bのキャッシュレスを、企画してみましょう。
銀行は何をする会社でしょうか。現金を管理する、違いますね。銀行に支店間の送金を依頼しても、銀行員がお金をもって移動することはありません。口座の情報を変更するだけで、現金の移動は行いません。つまり銀行は現金の情報を管理しているのであって、現金を管理しているわけではないのです。まさに情報産業です。もし銀行の頭取がITに詳しくないと言ったら、それは、銀行業務に無知だといっているに等しい状態になりました。
同じように考えれば、企業間で、リアルマネーを移動するのではなく、仮想通貨、ポイントみたいなものを登録しておいて、必要な際に支払いに充てたり、現金化すればいいのです。
そんなことは夢物語、とは言えません。それが企業間のキャッシュレス、B2Bキャッシュレスです。
企業グループ、サプライチェーンであれば、実現可能であるどころか、効果的です。
例えば、トヨタやニッサンのような自動車のサプライチェーンを想定すれば、同じ企業同士の中長期的な取引が継続します。
岐阜県飛騨市では飛騨信金が「さるぼぼコイン」を開発し、地域内の加盟店でスマホで支払うことができます。
https://www.mbs.jp/mint/news/2019/10/23/072825.shtml

この地域通貨を企業グループに当てはめてみましょう。「エンタープライズペイ(俗称:エンタペ)」です。
怒られるかもしれませんが、「トヨタペイ」を仮想してみました。
トヨタが1次サプライヤに「トヨタペイ」で支払います。1次サプライヤーは2次サプライヤーにも「トヨタペイ」で支払います。その間、現金化は不要です。2次サプライヤも3次にそれで支払います。3次サプライヤが、グループ企業以外に発注するとき、現金が必要となりますので、グループのフィンテック会社が、そのグループ外企業の口座にZEDI経由で支払います。この時だけ、銀行との取引が生じます。
給与も「トヨタペイ」で支払い、豊田市の加盟店には、さるぼぼコインのように、「トヨタペイ」、つまり電子マネーで決済します。キャッシュレスです。加盟店は、銀行と連携したグループのフィンテック会社を通じて、銀行口座に入金します。授業料や、税金も支払えます。
規制の話は別途、検討が必要ですが、抵触しそうなところがありましたら、教えてください。もっともポイントさえも流動資産だという意見が出ていますので、このようなデジタルマネーが、軽々に組み込まれる日も、遠くないと思います。





2日目の報告「電子インボイスによる中小企業の財務基盤強靭化」

新型コロナウイルス感染の環境下、中小企業の経営がますます厳しくなっているということは間違いありません。
注文が減って、仕事が減って、しかし、賃金や固定費の支払いは続くので、利益がなくなる以前い資金不足が顕著となっているので、様々な支援策が実施されようとしています。
しかし、それは、大企業と手同じ、なぜ、中小企業が、大変な状況となるのでしょうか。
多くの人は財務基盤が弱いからだといいます。資金のたくわえが少ない、とも言います。
もちろん、今は緊急事態、中小企業への支援は不可避ですが、本来の制作は、財務基盤の強靭化にあると思います。
戦後の高度成長の時期においては、注文があるので、間接金融で、利子を支払い続けることで長期借入と同等の財務基盤が可能でした。しかし、不安定な環境での財務基盤は、直接金融、内部留保を厚くし、資本を増強するというのが、経営の基本です。
中小企業の資金繰りは、運転資金の不足であり、その原因は売掛回収期間にあります。








金融EDI、とりわけ今後、到来する電子インボイスを中小企業の財務基盤の強靭化、特に運転資金の改善に役立つと思います。
①注文を受ける
②電子インボイス送信と同時に納品する
③電子インボイスをフィンテックサービスを経由して国に送信
④配送会社から配送確認情報をフィンテックサービス会社に送信
⑤国が、即日ZEDI経由で中小企業に支払う、その際に、消費税を差し引く
⑥フィンテック会社経由、国が回収、60日を超えれば延滞税を請求
⑦支払いから回収までの期間の利子を中小企業支援として補助

電子インボイスを活用し、実質的に、国が中小企業の売掛債権を買い入れ、その回収をフィンテックビジネスに委ねるというアイディアです。荒唐無と思われるでしょううが、潤沢な資金が金融市場ではなく、確実に消費に使われます。

メリット
(1)中小企業の資金繰りの大幅な向上
(2)電子インボイスを普及させるために、キャンペーンとして、消費税を8%に減税、大手企業にもメリット、電子インボイス導入促進
(3)利子補給相当の予算額は、20兆円の0.1%とすると200億円、これに見合うメリットは、取引データの詳細なビッグデータの収集、中小企業政策に活用




2020年4月25日土曜日

1日目の報告「業務連携の自律的自動化」

オートノマスシステムについての著書を翻訳しました。
『進化するオートメーション』です。
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私たちはIoT、でデータを収集し、それを分析するAIのい議論を高めてきました。しかし、それは、序の口でした。
その先には、情報をもとにして意思決定する機能、そして、メカニズムやシステムの動作や制御を行うためにアクチェーター、ロボット、ドローンなどの自動化システムにつながっています。
自動化システムには機械だけではなく、業務システムが含まれます。たとえば、
(1)製品を設計部門が設計した際に、部品図を基に、AIで実績ある業者、製作可能な業者に自動的に見積依頼を行う。業者は依頼を受け取ってからAI 見積システムが自動的に金額を算定し、自動的に見積書を送信します。その見積もりを、自動的に評価し、比較評価表を自動的に作成
(2)製造後の検査プロセスをIoT化して、検査データを、発注者に送信、AIが評価して、OKであれば、検収完了、納入と同時に支払処理が自動的に完了
(3)出荷予定を自動的に配送業者の送信、配送業者は出荷予定と経路をもとに最適な集配計画を立案、ドライバーに指示、配送情報を、荷主、出荷先に送信し、納品と同時に支払処理が完了

このように、IoT、AIと自動化業務システムが連動することで、ほぼ人手は不要になります。つまり企業間も自動化システム同士が交信し合うことで多くの業務が人手の介入なく完了できるのです。それは株式市場が人手の介入なしに、売買が行われることで、確認できます。
もちろん、異常事態、想定外の事態が生じれば、その時に、人に連絡して、指示をあおぐことができます。
このように、IoTとAIは企業間の業務システムとつなぐことで、大幅な自動化システムが出来上がります。
自律的自動システムがオペレーションを担当し、「人」がシステムデザインとモニタリングを担当するという分担になるでしょう。



新型コロナウイルス対応の医療システムの最大のネックは医師、看護師です。それも感染リスクを抱えています。この反省も、確実に、次のへと、自律的医療システムを求めていることは間違いありません。


オープニング

10:00
開講の意義
様々なイベント、セミナーが中止・延期する中で、しかし、学ばなくていいはずはありません。情報交換しなくていいはずはありません。
緊急事態宣言の中でも、限定的であるとはいえ、企業間の取引は遂行され、多くの業務連携の不都合はそのままになっています。
改革は止めてはいけませんし、改革の議論の停止も許されません。
このオープンゼミの意義はまさしく、正常化されたときに備え、改革すべき諸事項を点検し、構想し合うことにあります。
皆さんの、有益な情報の交換の場として、今週、1週間限りの開講ですが、ご活用いただきますよ、お願いいたします。
期間:4月27日(月曜)~5月1日(金曜)
ご報告、ご意見、ご質問を、以下のコメント欄、あるいは、メールにて、ご都合の良いタイミングでご参加ください。
また、まさしく、皆さんがお持ちの構想を語り合っていただければと思います。

私からは、毎日1テーマ、報告させていただきます。
(1)業務連携の自律的自動化
(2)電子インボイス導入による中小企業の財務基盤強靭化
(3)企業間業務連携によるB2Bキャッシュレスの実現
(4)品質管理から検査レス、検収レスへ企業間業務の自動化
(5)サプライチェーンにおける中小企業のセキュリティ

このオープンゼミは、登録制としています。
私の報告と、このwebサイト(https://cloud-edi.blogspot.com/)は、公開しますが、みなさんの報告と議論は、登録された参加者限りとさせていただきます。

参加希望の方は、
info@smb-cloud.org へご連絡ください。

宛て、送信ください。




2020年4月20日月曜日

クラウドによる企業連携(EDI)研究会 第2回はオンライン開催

自粛自粛とテレワーク、確かに仕事ができているようでしかし、前向き、アクティブな仕事に気持ちが作れない日々でしたが、やはりクリエイティブであってこそ、仕事ですね。やっとが前向きになってきました。

さて、1月31日に開催した当研究会の第2回を開催したいと思います。続けることがなにより大事。

Zoom、でなく、メールのやりとり、以下の要領で開催します。

期間: 来週4月27日(月)から1週間程度、
方法: 登録者によるメーリングリスト方式
内容: 参加者からのご報告と、ディスカッション、というオープンゼミナール形式
まず、私から、1月31日以降の状況など、ご報告いたします。

アフターコロナの優先課題はサプライチェーンの再構築にあります。その際に、まさしく、日本のサプライチェーンお最大の問題は旧来の取引慣行にあります。DX、さらにクラウドの爆発的普及(Cloud explosion)を起こしたいと思います。

前回ご参加の皆さんをMLに登録いたしました。
参加希望の方は、返信ください。

ご報告は、前もって私宛送信いただくか、このアドレスに送ってください。
ファイルがある場合、前もって送っていただけば、Webダウンロードできるよう準備します。PPTはPDFの方がいいと思います。